カンボジア政府は、国内の全テレビ局に対し、番組やコマーシャル映像の国産化の推進を通達する方針であることがわかった。内務省のマウ=アユット長官が23日発表した。国内の映像産業振興と、カンボジア人芸能人の育成が目的であるという。
この方針はキエウ=カニャルット情報相の勧告によるものだが、同長官によれば、外国のコンテンツや外国制作のコマーシャル映像を禁じるわけではなく、あくまで行政指導にすぎないという。通達発出の具体的な日程は未定という。
たしかにカンボジアの映像水準は現時点では高いとはいえない。しかしインドネシアでは2000年代前半、テレビコマーシャルにインドネシア人以外の出演を禁ずる法律を定めた。これによりインドネシアの広告業界は目を見張るほど成長した、と多国籍広告代理店ベイツ141のマリアンヌ=ウォーラー カンボジア カントリー ディレクターは指摘する。
カンボジア企業であるケイド広告社のジャンヌ=クリフォード クリエイティブ ディレクターは、ここ数年急速に成長を遂げてきたこの業界にとって、こうした規制は2〜3年前にはほとんど効果がなかったと思うが、今なら絶大な追い風になると語った。
バイヨンTVのフオト=キアンヴェーン局長は、国産コンテンツ奨励の動きは素晴らしいと語った。バイヨンTVではすでに10本以上の連続ドラマを制作・放映しており、今後もこれを増やして、外国からのコンテンツ購入を抑える方針だという。
ただし外国制作のコマーシャル映像の制限については、現状でバイヨンTVのコマーシャル映像の約50パーセントが外国制作であることから、あまり厳しい規制は局の歳入に影響するおそれがあると同局長は語った。
TV5のチャー=ルッティー番組プロデューサーは、最近テレビでカンボジア制作のコマーシャルが増えてきたとして、「カンボジア制作のコマーシャルは、カンボジア人の心により訴える。カンボジア人はそのほうを好む」と語った。外国制作のものもあるが、古いという。
「カンボジアの映像産業は充分、内務相の勧告に応えうるだけの創造性を示しうる」と、プロデューサーは業界人としての自信をのぞかせた。
クメール メコン フィルムズのマシュー=ロビンソン エグゼクティブ プロデューサーは、テレビのチャンネルにはそれぞれ莫大な放送時間があり、カンボジアの映像業界はよろこんでそれを埋めるだろうと語った。「問題は、制作費はどこから出るのか? ということだけだ」。
2009年11月24日
カンボジアウォッチ編集部
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