カンボジアの首都プノンペンの中心部ワット=プノムで17日、象のサンボの50歳の誕生日を祝うパーティが開かれた。僧侶5人と100人を越す地元住民や観光客がサンボを祝福した。楽団がハッピーバースデーを奏でた。
サンボの飼い主シン=ソーンさん(53)は、「誕生日を祝ってもらうのは彼女にとって生まれて初めて。象が誕生日を祝ってもらうこともプノンペン史上初めて」と述べるとともに、サンボとの波乱に満ちた思い出を語った。
サンボは42年前、ソーンさんの父とコンポン=スプーの森で出会った。クメール ルージュ時代の4年間、サンボはソーンさんらから引き離され、田畑で酷使され、すべてのカンボジア人と同じ辛酸をなめた。しかしクメール ルージュが放逐された後、彼女はソーンさんと再会を果たす。
「彼女の足はクメール ルージュによって斧で切りつけられており、彼女はほとんど死にかけていました」ソーンさんが指さすサンボの左足のかかとには、痛々しいえぐられた痕が残る。「サンボも私も、ともに辛い時代を生きてきました。サンボは私の妹も同然です」とソーンさん。プノンペンへやって来たのは1982年だという。
プノンペンには現在、象はサンボ1頭しか住んでいない。ソーンさんは、サンボのためにお婿さんを見つけてやりたいと語り、もし見つけることができたなら、盛大に結婚式を開いてやりたいと語った。
サンボは一日70キログラム食べる。観光客にバナナを売って食べさせてもらったりしているが、正直、食べさせていくのが大変だとソーンさんは悩みを打ち明けた。
サンボは日々プノンペンの街を練り歩いており、プノンペンに暮らす人や観光客は、頻繁に彼女の姿を目にすることができる。彼女はプノンペンの歴史と風景の欠かせない一部である。
2010年01月18日
カンボジアウォッチ編集部
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