29日付の米国科学アカデミー紀要は、アンコール朝が急速に没落した主原因は洪水であった可能性が高いという、ブレンダン=バックリー氏・ダニエル=ペニー氏らの研究グループの論文を掲載した。1300年代中葉と1400年代初頭のイトスギの年輪に、洪水の跡が見られるという。
洪水は短期的にアンコール朝の農業生産を損なったのみならず、運河や溜池(バラーイ)といった水利施設を破壊し、長期的にもアンコール朝の大人口を養うことを不可能にしたと推定している。
アンコール朝の衰微の主原因が、新興勢力のアユッタヤー朝シャムとの抗争にあるという従来の学説の推定が根拠薄弱であることは、豪シドニー大を中心としたシエムリアプで活動するアンコール期カンボジアに関する国際調査団「大アンコールプロジェクト」(ダン=ペニー団長)もつとに指摘している。
バックリー氏は昨今のメコン川の旱魃にもふれ、「人間は自然に逆らうことはできない。いかに気候変動に柔軟に対応するか、それが生死を分ける」と述べた。
第一回メコン川委員会サミットが来月頭にタイのフアヒンで開かれる。フン=セン首相も来月4日と5日に出席する見通しだ。ただし外務省のクイ=クオン報道官によれば、タイのアピシット=ウェーチャチーワ首相との二者会談の予定はないという。
2010年03月31日
カンボジアウォッチ編集部
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